地上型レーザースキャナーとは?仕組み・手順・メリット・デメリットを解説

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2024/06/08

地上型レーザースキャナーとは?仕組み・手順・メリット・デメリットを解説


地上型レーザースキャナー(TLS)は、建築や土木、地理情報システムなどの分野で幅広く利用される高精度な測量技術です。
三脚に取り付けられたレーザー機器を使用し、対象物の3Dデータを迅速かつ詳細に取得します。
レーザーを360度全方位に照射し、その反射を計測することで、高精度な点群データを生成します。
 
この記事では、地上型レーザースキャナーの仕組みや手順、メリットとデメリットについて詳しく解説します。

地上型レーザースキャナーとは

地上型レーザースキャナーは、建物や地形、構造物などの3Dデータを高精度に取得するための測量技術です。
レーザー光を使用して対象物の表面を詳細にスキャンします。
三脚に取り付けられたスキャナがレーザーを360度全方位に照射し、その反射光を計測することで点群データを生成します。
 
例えば、建築分野では、古い建物の現状を正確に記録し、そのデータを基にリノベーション計画を立てることが可能です。
また、土木工事では、工事現場の地形データを正確に把握することで、効率的かつ安全な施工が実現します。
さらに、考古学では、遺跡の詳細な3Dモデルを作成し、研究や保存に役立てられています。

地上型レーザースキャナーの利用手順

地上型レーザースキャナーは、精密な3Dデータを取得するために使用されます。
その利用手順は以下のとおりです。

【1】機器の設置位置を決める

設置する位置を検討し、測量範囲を網羅できるか確認します。
計測面に雪や水面がないか、妨げとなる構造物や植物がないかもチェックします。
必要に応じて、植物の伐採や除草を行います。

【2】地上型レーザースキャナーを設置する

TLSを三脚でしっかり固定し、レーザーと対象物が正対するように設置します。
急傾斜地や軟弱地は避け、安定した地盤を選びます。
設置方法は、「器械点と後視点の方法」や「後方交会法」があり、現場の状況に応じて使い分けます。

【3】スキャン開始

TLSのコントロール画面で測量範囲と密度を設定し、スキャンを開始します。
TLSの設置位置を変えながら複数の位置からスキャンを行い、データがオーバーラップしてスキャンできていることを確認します。
設定や操作は機器によって異なります。

【4】取得データを出力する

全てのスキャンが完了したら、データを統合して点群データを作成します。
場合によっては標定点や基準点を使用したり、不要なノイズを処理します。
これにより、高精度な3Dモデルが完成します。

地上型レーザースキャナーのメリット

地上型レーザースキャナーは、建築、土木、地理情報システム(GIS)など、多岐にわたる分野で利用される高精度な測量技術です。
以下のようなメリットがあります。

高精度と詳細なデータ取得

ミリメートル単位の高精度で対象物の3Dデータを取得することができます。
この高精度なデータは、建築物の「アズビルト」(竣工図)ドキュメントの作成や、土木工事の進捗管理に役立ちます。
例えば、歴史的建造物の修復プロジェクトでは、正確な寸法と形状を記録するためにTLSが使用され、詳細な再現が可能となります。

非接触でのデータ収集

非接触でデータを収集するため、安全かつ効率的に作業を進めることができます。
これにより、危険な環境やアクセスが困難な場所でもデータ収集が可能となり、作業者の安全を確保しつつ高品質なデータを取得することができます。
 
例えば、橋梁や高層建築物の点検では、高所作業車の使用というような従来の方法ではリスクが伴う場所でもTLSを利用することで安全にデータを収集できます 。

効率的なデータ収集とコスト削減

短時間で広範囲のデータを収集できるため、作業効率が大幅に向上します。
従来の手作業による測量と比較して、一度のスキャンで大量のデータを取得でき、プロジェクト全体のコストを削減する効果があります。
 
例えば、大規模な建設現場では、地上型レーザースキャナーを用いることで迅速に現状の把握ができ、計画変更や問題発見の迅速化に寄与します。

データの多用途性

取得した点群データは、2D図面の作成や3Dモデルの生成に利用でき、多様な用途に対応可能です。
これにより、設計から施工、保守管理に至るまで、一貫したデータの活用が可能となり、プロジェクトの全体最適化が図れます。
 
例えば、都市計画では、地上型レーザースキャナーによる詳細な3Dモデルを基にして交通流のシミュレーションや新たなインフラの設計が行われます。

地上型レーザースキャナーのデメリット

地上型レーザースキャナーには、次のようなデメリットがあります。

コストが高い

地上型レーザースキャナーの導入には高額な費用がかかります。
機器自体が高価であることに加え、専用のソフトウェアやデータ処理のためのパソコンも必要です。
また、操作やデータ解析には専門的な知識が必要であり、これらを持つ技術者の雇用や研修もコストに含まれます。
このため、中小企業や予算の限られたプロジェクトでは導入が難しい場合があります。

データ処理に時間がかかる

地上型レーザースキャナーによって取得されたデータは非常に詳細であるため、その処理には多くの時間と労力が必要です。
点群データを整理し、不要なノイズを除去し、正確な3Dモデルを作成するためには、専門的なソフトウェアと高度なスキルが求められます。

測定範囲の制約

TLSは視界に入る範囲内のデータしか取得できません。障害物が多い環境や複雑な地形では、スキャナを複数の位置に設置してデータを収集する必要があります。
また、反射率の低い素材や遠距離の対象物もデータ取得が困難です。

まとめ

地上型レーザースキャナーは、建築や土木、地理情報システムなどの分野で利用される高精度な測量技術です。
メリットとデメリットを理解することで、適切な導入と活用が可能です。
 
ヤマイチテクノでは、地上型レーザースキャナー以外にもさまざまな種類の機器を取りそろえておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。

3Dレーザースキャナーの
販売・レンタル・計測業務受託

ハードウェア/ソフトウェアの販売から、機材のレンタル、計測業務受託まで
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