レーザートラッカーとは?仕組みやメリット・測定の種類などを徹底解説

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2023/05/04

レーザートラッカーとは?仕組みやメリット・測定の種類などを徹底解説


 
測定の際は、アナログの測定器を使用するのではなく、レーザートラッカーをはじめとしたデジタル機器を使用することが一般的になりつつあります。
これは、手作業にはないさまざまなメリットがあるためです。
ここでは、レーザートラッカーの導入を検討している方は、仕組みや導入のメリット、測定の種類などについて詳しくご紹介します。

レーザートラッカーとは

レーザートラッカーとは、対象物に接触させた物体に対してレーザーを照射し、反射したレーザーを受け取ることで三次元位置を確認する測定器です。
対象物に接触させた物体からの反射光を追いながら発光部と受光部が動くため、トラッカー(追従するもの)と名付けられました。
取得した三次元位置の情報を演算ソフトに取り込むことで寸法値や角度、幾何公差などを算出できます。

レーザートラッカーの特徴

レーザートラッカーは、一般的な三次元測定機と比較して、より大きな対象物を測定できます。
一般的な三次元測定器は、数m程度までの測定範囲ですが、レーザートラッカーは10m以上の測定範囲を持ちます。
 
また、測定しながら本体を動かすことで、より大きな対象物の測定が可能です。
さらに、レーザーを遮る物体がある場合にも対応できます。レーザートラッカーで計測するのは、巨大な設備、飛行機などです。

レーザートラッカーの仕組み


 
レーザートラッカーは、対象物から返ってきたレーザーから三角測距法などで距離を割り出し、レーザーの発行角度情報と組み合わせることで、対象物の中心座標を求めます。
また、角度は水平と垂直の2方向の情報を入手できます。
 
カメラ本体は水平や垂直に回転し、レーザーが受光部へ常に当たるように追従します。
測定したいものに接触させる対象物は鏡面になっており、レーザーを受ける角度に関係なく、常に中心から光を反射します。
対象物は真球のため、常に中心からレーザーを反射することで、その中心座標を求められる原理です。

レーザートラッカーを構成する部品

レーザートラッカーは、カメラ本体とそれを支える三脚、対象物に接触させる物体、演算ソフトをインストールしたPCで構成されます。
カメラ本体には、レーザーを照射する部分と返ってきたレーザーを受け取る部分があります。

レーザートラッカーのメリット

レーザートラッカーのメリットは、高精度な三次元測定が可能なことです。
従来の三次元測定機は測定範囲が限られています。
また、巻き尺やハンドツールを使用する場合は正確な測定が困難です。レーザートラッカーは、広範囲の測定が可能なうえに、高精度な三次元データを取得できます。
 
さらに、製品の3DCADデータを読み込み、実物との差異を測定することも可能です。
このようなメリットのほかに、測定する人や企業にもメリットがあります。短時間で正確なデータを取得できるため、業務効率が格段に上がります。
さらに、業務負担の軽減によってモチベーションアップや生産性の向上も可能です。
 
レーザートラッカーの導入にはコストがかかりますが、初期費用と多少のメンテナンスコストのみで、より多くの金銭的なメリットを得られます。

レーザートラッカーの測定の種類

レーザートラッカーの測定方法には、いくつかの種類があります。
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

リフレクタ測定

リフレクタ測定は、レーザートラッカーの基本的な計測スタイルです。
測定したい箇所に対象物を接着させ、そこから反射したレーザーを受け取ることで座標を取得します。
この対象物にはさまざまな種類がありますが、リフレクタ測定で使用するものを「リフレクター」といいます。

プローブ測定

プローブ測定とは、レーザートラッカーにT-Probeという機器を取り付け、照射したい箇所に直接接触させることで座標を取得します。
軽量かつワイヤレス接続のため、入り組んだ形状の対象物の内部も測定できます。

ハンディスキャナ測定


 
ハンディスキャナ測定とは、スキャナを振り動かしながら対象物をスキャンする方法です。
精度や材質、対象物のサイズなどに応じて、適したスキャナを使用します。
また、ロボットに取り付けることで自動で座標データを取得できるタイプもあります。

おすすめのレーザートラッカー

Leica AT960/T-Probe/AS1

 

最も評価の高い、シェアNO.1のレーザートラッカー。

メリット
MERIT
大型の対象物の測定に長けている

AS1は半径最大30mまでの測定が可能です。
また、非接触で対象物を測定するため、大型の対象物も測定できます。

光沢面の測定も可能

SHINE(システマチック ハイインテリジェンス ノイズエリミネーション)技術を採用することで、光沢のある黒やマットブラックのほか、カーボンファイバーも測定できます。
従来の3Dスキャナーでは難しかった光沢面への正確な測定を実現します。

自動計測できる

AS1は自動計測にも対応しており、測定作業の効率化や作業時間の短縮が可能です。
自動計測と手動計測を使い分けることにより、さらなる効率化を図ることができます。

マルチレンジ測定に対応

AS1はトラッカーの各モデルと組み合わせることで、さまざまな測定レンジのスキャニング測定が可能です。
さらに、高精度リフレクターの使用によって最大80mで測定できます。

FARO Laser Tracker Vantage Max

 

長距離かつ高精度の3Dレーザートラッカーです。

メリット
MERIT
大きな構造体を高精度に三次元測定することが可能

一般的に導入されている接触式の三次元測定機は、測定対象の大きさが1~数m程度までの測定機が多いのに対し、FAROレーザートラッカーは最大160mまでの測定が可能です。また、測定機を移動させることにより、それ以上の範囲で測定することも可能です。搬送が困難な大型の部品や設備等の測定に適しています。

三次元モデルデータと比較が可能

三次元CADで作成されたモデルと実際の構造物を比較することが可能です。部品等の良否判別等が容易にレポート出来ます。同一部品を継続的に測定し、統計をとる事も可能です。

据付精度確認や据付のサポートが可能

レーザートラッカーは、水準器を内蔵していますので、レベル平面からの偏差等をリアルタイムに確認しながら、据付を行う事も出来ます。

産業用ロボットなどの動的測定が可能

現場でロボットや大型加工設備などの定期的なメンテンナス・キャリブレーションを行い、仕様への適合と均一な生産を確保します。

活用例
EXAMPLE

レーザートラッカーは、自動車、航空宇宙、防衛、造船、発電、金属加工、工作機械、加工やアセンブリなど様々な業界で使用されています。

アライメント作業

寸分の狂いも許さない製造設備の設置・組立においてリアルタイムに測定しながら作業を進めていくことができます。

航空機用の治具の位置出し測定

航空宇宙産業の治具の位置出しには高い精度が求められます。

加速器施設の測定・位置調整

加速器施設に付随する設備の位置出し作業に活用されています。

蒸気タービンの軸受け測定

発電用タービンの定期点検や、実物を測定して設計に利用するリバースエンジニアリングにて技術を発揮しています。

ロボットの軌跡測定

産業用ロボットのアームの位置精度を正確に把握するため、ロボットアームにSMRを取り付け、軌跡を取得・解析し、ティーチングに活用します。

新幹線用車輪台車の測定

新幹線用の車両台車の治具を測定、交通輸送の安全に一役買っています。

まとめ

レーザートラッカーは、照射したレーザーの反射光を読み取ることで座標を読み取る機器です。
対象物にリフレクターと呼ばれるものを接触させ、そこから反射した光を読み取る仕組みのものが一般的です。
このようなデジタル測定は近年急速に普及しています。
測定者の負担軽減や業務効率化などの効果も期待できるため、経営層としても早めに導入したいところではないでしょうか。
 
レーザートラッカーについては、ヤマイチテクノにお問い合わせください。

この記事の監修者

1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。

3Dレーザースキャナーの
販売・レンタル・計測業務受託

ハードウェア/ソフトウェアの販売から、機材のレンタル、計測業務受託まで
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