ワコールが3Dスキャナーを医療に活用!その取り組みの内容と今後の展望とは

【ヤマイチテクノ】大阪・東京・名古屋

  • 3D

2022/08/22

ワコールが3Dスキャナーを医療に活用!その取り組みの内容と今後の展望とは

下着メーカーで知られるワコールは、3Dスキャナーを活用・製造したブラジャーを発表しました。
3Dスキャナーは衣類や医療に用いられる事例が増えてきており、今後ますます幅広い場面で用いられることが予想されています。
ここでは、ワコールによる3Dスキャナーの医療への活用について、その取り組みの内容や今後の展望について詳しく解説します。

ワコールと有明病院が共同研究を発表

下着メーカーのワコールと公益財団法人がん研究会有明病院は、乳房再建手術における共同研究を行うことを発表しました。
乳がん手術によって乳房を切除した場合、乳房再建術を行うことがあります。

なるべく元の状態に近い乳房再建を実現することを目的に、ワコールの3D計測サービス「3Dスマートアンドトライ」によって元の乳房に近い状態を再現する方法が確立されました。

がん研有明病院の乳房再建手術

がん研有明病院は、年間180件もの乳房再建手術を行ってきており、「どうすれば患者の満足度を向上できるのか」をテーマに長年研究を重ねてきました。
その中で、女性のバストに関する知識やノウハウを持つワコールであれば、何らかの形で患者の満足度を高められるのではないかと考えたそうです。

乳房再建手術を受ける女性の割合

乳房再建手術を受ける女性の割合は、全症例中2割程度です。
今回の共同研究では、「乳房を取り戻して前向きに明るい人生を送りたい女性」が満足度の高い乳房再現手術を受けられるようにすることを目標としています。

共同研究によって生み出された「サージカルブラジャー」

サージカルブラジャーは、3Dスキャンによって最適なブラジャーを選ぶために必要な情報を取得し、約3,000通りのブラジャーサイズの中からぴったりのブラジャーを選択できます。
手術時に使用するため、ストラップが短く作られており、バックベルトはついていません。
満足度が高い乳房再建を実現するために、手術中にブラジャーの着用状態の乳房をイメージできるように開発されました。

乳房再建手術には、自分の組織の一部を移植する「自家組織再建」と人工乳房を使う「インプラント再建」があります。
自家組織再建は、再建する乳房の大きさと形を医師の判断で決定します。
しかし、術後にブラジャーのサイズが合わなかったり、ワイヤーが当たって痛みが出たりするケースが少なくありません。
そこで活用されるのがワコールの3D計測サービス「3Dスマートアンドトライ」です。

3Dスマートアンドトライの乳房再建手術への利用

患者が術前にワコールの店舗で3Dスキャンを受け、そのデータをもとにサージカルブラジャーを製作します。
そして、サージカルブラジャーを用いて乳房再建手術を行うことで、患者の満足度向上を実現します。
患者としても、受け身ではなく積極的に治療に関わることで前向きな気持ちを持てるようになる可能性があります。

患者からの声

サージカルブラジャーを使用した乳房再建手術を受けた患者からは「ワコールのビューティアドバイザーが親切だった」、「気持ちよく計測・相談ができた」、「術後も下着の相談ができるのは安心」といった声がありました。

ワコールは全国18店舗に21台の3Dスキャナーを設置しており、サージカルブラジャーの製作に力を入れています。今後の展望として、全国100台の設置を目指しているそうです。

リコーの3Dプリントバストも

リコーは、3Dプリンター技術を用いた3Dプリントバストを開発しました。
3Dプリンターで出力されたバストは非常に柔らかく、約2週間という短期間で造形できます。
ワコールの3D計測サービスとがん研有明病院の乳房再建手術、リコーの3Dプリントバストの掛け合わせにより、その可能性を検討している段階です。

3D計測サービスで取得したデータをもとに3Dプリントバストを造形することで、患者の身体に適したバストの再現ができます。
それをもとに乳房再現手術を行うことで、患者の満足度向上に繋がることが期待されています。

まとめ

ワコールの3Dスキャナーを用いた3D計測サービスは、乳房再建手術の満足度向上に役立っています。
3Dスキャナーは産業において大きな役割を担っており、導入企業が増加傾向にあります。
今後も、さまざまな用途で3Dスキャナーが用いられるようになるでしょう。
自社でも3Dスキャナーを導入したいと考えている場合は、用途に合わせて精度や解像度、スキャンスピードなどの条件を定め、最適な製品を選択することが大切です。

ヤマイチテクノでは、用途に応じて必要なスペックの条件を定め、最適な製品をご提案しております。
3Dスキャナーの導入を検討中の方はお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。

3Dレーザースキャナーの
販売・レンタル・計測業務受託

ハードウェア/ソフトウェアの販売から、機材のレンタル、計測業務受託まで
ヤマイチテクノは幅広い「3D技術」でお客様のご要望を叶えるお手伝いをいたします。