工場や建築物など広いエリアを3Dスキャンする方式は?他の選定基準も解説

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2022/05/10

工場や建築物など広いエリアを3Dスキャンする方式は?他の選定基準も解説


3Dスキャナーは、工場や建築物など広範囲のスキャンにも対応しています。ただし、使用する3Dスキャナーによって対応できる広さが異なるため、用途に合わせて選ばなければなりません。ここでは、広いエリアを3Dスキャンできる3Dスキャナーの特徴、方式などについて解説します。

広いエリアのスキャンにはどの3Dスキャナーを使用すべき?

3Dスキャナーには「接触式」と「非接触式」があります。広いエリアのスキャンに向いているのは非接触式です。接触式は、対象物にセンサーやプローブなどを接触させてスキャンするため、複雑な構造物や柔らかいもののスキャンには向きません。

一方、非接触式はレーザーを対象物に照射して、返ってきた光をカメラで捉えることで位置情報を取得する仕組みです。パターン光を照射して、変化した光をカメラで捉えて形状をスキャンするものもあります。

非接触式スキャナーの中には、工場や建築物など広いエリアをスキャンできる長距離レーザースキャナーもあります。

広範囲をスキャンできる3Dスキャナーの方式

非接触式の中でも主流なのは、光投影法とレーザー切断方式です。他にも、工場や建築物など広いエリアのスキャンに向いている次のような方式もあります。

位相差方式

位相差方式とは、フェイズシフト方式とも呼ばれ、複数に波長のレーザーを対象物に照射し、返ってきた拡散反射成分の位相差から対象物までの距離を測定する方式です。また、スキャナーの移動方向からの照射角度も算出し、距離と組み合わせることで3次元位置情報の取得もできます。

タイムオブフライト方式

タイムオブフライト方式は、レーザーを多方向に照射し、対象物から反射してスキャナーへ返ってくるまでにかかる時間から3次元座標を取得します。Time of Flightは「飛行時間」という意味ですが、これは光の飛行時間から距離を計測しているためです。

空気中における光の速さは30万km/秒であり、常で一定だからこそ光の往復時間から距離を計測できます。例えば、センサーにレーザーが返ってくるまでにかかった時間が10ナノ秒だった場合は、10ナノ秒×30万km/秒=3mとなります。

タイムオブフライト方式は自動車からロボットまで幅広い分野で活用されています。

フォトグラメトリー方式

フォトグラメトリー方式は、複数枚の写真を撮影し、その視差情報から3次元座標を取得する方式です。比較的古くから存在する技術であり、史跡保護や測量、地形調査、3DCGゲームなど幅広い分野で使用されています。

方式以外に注目すべきポイント

3Dスキャナーを選ぶ際は、方式以外にも見るべきポイントがあります。次の項目をチェックし、目的や用途、予算などの条件を満たした3Dスキャナーを選びましょう。

精度

3Dスキャナーにおける精度とは、スキャンした3Dデータと実物との差を指します。実物との差が小さくなればなるほどに精度が高いと言えます。具体的に解説すると、取得した3Dデータは点の集まりであり、この点の位置が実物と近ければ正確性(精度)が高いと言えるのです。精度が高くなればなるほどに価格も高くなる傾向があります。

データのずれは後処理の際に修正したり再撮影したりすることでカバーできます。しかし、あまりにも精度が低い場合は撮影し直しとなるため、ある程度の精度は必要です。

解像度

取得した3Dデータは、点と点を繋いで三角形を作るのですが、この三角形の一辺が解像度を表します。解像度が高くなればなるほどに3DCADが詳細になりますが、データサイズが大きくなる点に注意が必要です。

速度

3Dスキャナーにおける速度とは、3Dデータ化にかかる時間を指します。高精度のデータの取得には長い時間がかかるため、業務効率を考えると速度が優れたものを選ぶことも検討した方がよいでしょう。

ハンディータイプの3Dスキャナーは1秒間に数百万もの点を取得できます。一方、据え置きタイプの3Dスキャナーは1秒間に数十万点ほどです。時間と精度のどちらを優先するのかを決めたうえで選ぶ必要があります。

操作性

3Dスキャナーの操作性も確認が必要です。操作が難しいとストレスを感じて使わなくなったり、適切なスキャンができなかったりする場合があります。また、スキャンに高いスキルが必要になれば、作業が属人化することも懸念されます。

使用頻度が高くなればなるほどに操作性に優れた3Dスキャナーを選ぶことが大切です。

まとめ

工場や建築物など広いエリアをスキャンする場合は、非接触式3Dスキャナーを選びましょう。中でも位相差方式やタイムオブフライト方式、フォトグラメトリー方式など、広いエリアのスキャンに向いているものを選ぶことが大切です。ただし、方式だけではなく精度や速度、操作性などにも注目して、目的や用途、予算などに合ったものを選びましょう。

ヤマイチテクノでは、用途や目的、予算などに基づいて3Dスキャナーをご提案しております。使用方法や注意点などのアドバイス、レクチャーなどもしておりますので、どの3Dスキャナーを選べばいいかわからない、使い方を知りたいといった場合はお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。

3Dレーザースキャナーの
販売・レンタル・計測業務受託

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