3Dプリンターの「オーバーハング」とは?対策方法も解説

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2024/02/28

3Dプリンターの「オーバーハング」とは?対策方法も解説

 

3Dプリンターは、どのような造形でも自由に作ることができるわけではありません。
形状によっては強度に問題が生じ、さまざまな対策が必要となります。
3Dプリンターにおいて注意したいものの1つが「オーバーハング」です。
 
今回は、3Dプリンターのオーバーハングとその原因、対策方法などについて詳しく解説します。

3Dプリンターの「オーバーハング」とは

「オーバーハング」とは、3Dプリンターにおいて造形物の一部が支えなしで空中に浮いている状態を指します。
これは建築用語の「2階のせり出し部分」に由来しますが、3Dプリンティングにおいては、印刷中に支えがない部分が物理的に成形されることを意味します。
 
例えば、家のミニチュアを3Dプリントする場合、壁に接していない屋根の先端や窓の枠などがオーバーハングとなります。
これらの部分は、3Dプリンターが印刷する際に支えがないため、途中で崩れたり歪んだりする可能性があります。

オーバーハングが起きる原因

オーバーハングが3Dプリンターで問題となる原因は、造形物の一部が支持なしで空中に浮いていることです。この状態では支持力が不足し、造形物が完成した際に崩れたり歪んだりする可能性が高まります。
特に、せり出した部分が45度以上の急な角度を形成すると、オーバーハングが発生しやすくなります。
 
具体的な例としては、建物のミニチュアを3Dプリントする場合に、壁から離れた屋根の部分や細い柱が挙げられます。
このような問題を回避するためには、適切な支持や設計の工夫が必要です。
オーバーハングが起きる部分を特定し、適切な対策を講じることで、品質の高い3Dプリント作品を実現することが可能です。

オーバーハングを防ぐには?

オーバーハングは、少しの工夫によって対策できます。
対策方法について詳しく見ていきましょう。

土台の設置

支持力が不足しているところが崩れるのを防ぐために、造形物を土台で支える方法があります。
そもそも、地面から浮いているがために安定感がなくなっているので、それを解消すれば支持力が向上し、崩れるリスクを軽減できます。
 
設置した土台は、造形が完了した後に取り除くことができます。
ポリサポートや水溶性サポートなどの材料を使えば、土台を除去する際に完成した造形物を傷つけることなくスムーズに行えます。
 
土台の設置は、オーバーハングに対する基本的な対策であり、造形物の強度を補強する役割を果たします。
土台を設置する際には慎重に取り扱い、完成後の造形物を傷つけないよう細心の注意を払う必要があります。

造形物の向きを変える

オーバーハングに対するもう一つの有効な対策方法は、造形物の向きを変えることです。
宙に浮いてしまう部分がある場合、その部分をなくすために造形物の向きを変えることで問題を解決できます。
例えば、家の造形物の場合、屋根の部分がせり出してしまう場合は、屋根を下に向けて造形すれば問題が解消されます。
 
45度傾けて造形することで、造形の安定性が増すとされています。
造形物を地面につくように角度を変えることで、オーバーハングによる問題を回避できます。
造形物の向きを変えれば、オーバーハングによるリスクを低減させるだけでなく、安定性を増すことができます。

造形の方法を工夫することも検討しよう

そもそも造形を工夫することで、オーバーハングによる問題を解消できます。
造形の工夫のポイントは次のとおりです。

押出幅の増加

オーバーハングを回避するための重要な手法のひとつは、押出幅の増加です。
押出幅を増やせば、より安定した造形が可能になります。
0.1mmだけ押出幅を増やすだけでも、オーバーハングのリスクを軽減できます。

積層ピッチの増加

積層ピッチとは、造形を作り上げるうえで、積み上げていく際の間隔のことです。
積層ピッチを厚くすることで、3Dプリンターによる造形時の安定性が増し、オーバーハングの発生を防ぐことができます。
一般的に、積層ピッチの厚みが増すほどに崩れるリスクが低下します。

モデリングの工夫

オーバーハングを減らすためには、モデリングの工夫も重要です。
造形方向を意識したり、天井部分を平らにしてブリッジしやすくしたりする方法があります。
また、フィレットを使わずに面取りをしたり、モデリング時に造形方向を意識して少なくすることも有効です。

まとめ

3Dプリンターのオーバーハングは工夫次第で対策できます。
問題を放置すると造形物が破損するリスクが高まるため、十分に対策してください。
今回、解説した内容を参考にオーバーハングに対する理解を深め、適切な方法で造形物を作成しましょう。

この記事の監修者

1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。

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