3Dプリンターの光造形方式とは?メリット・デメリット・後処理などを解説

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2022/04/02

3Dプリンターの光造形方式とは?メリット・デメリット・後処理などを解説

3Dプリンターには、主に7つの造形方式があります。その中でも長い歴史のある方式が光造形方式です。3Dプリンターの購入を検討する際は、造形方式の違いを把握しておくことをおすすめします。ここでは、3Dプリンターの光造形方式のメリットやデメリット、後処理などについて詳しくご紹介します。

光造形方式とは

光造形方式とは、液体のレジンにUVライトやレーザーを照射し、硬化させるとともに積層させて造形していく方式です。光造形方式の中にも、光やレーザーの照射位置が異なるものや、点と面のどちらで照射するのかが異なるものなどがあります。

光造形方式の造形プロセス

光造形方式の中でも一般的に用いられているのは、光やレーザーを下から照射するものです。その造形プロセスをご紹介します。

1.プールにレジンを満たし、造形物を作るテーブルを浸す
2.プールの底から光やレーザーが照射されてレジンが硬化する
3.プールの底から剥離させ、余分なレジンを落とす
4.1層高い位置までテーブルが上がり、再びプールの底から光やレーザーが照射される

この流れを繰り返すことで造形されていきます。

光造形方式の後処理

3Dプリンターは造形方式を問わず後処理が必要です。光造形方式では、洗浄および必要に応じてサポート部の除去、研磨、二次硬化などを行います。

後処理では、エタノールをはじめとする洗浄剤で造形物を洗い、硬化していないレジンを落とします。このとき、細かなすき間に入り込んだレジンも取り除かなければなりません。

その後、必要に応じて二次硬化をします。これは、最初の照射だけではレジンが完全に硬化されていない場合があるためです。続いて、サポート部を除去し、造形物の表面を磨いて仕上げます。

光造形方式で使用する主な材料

光造形方式で使用するレジンには、エポキシ系樹脂とアクリル系樹脂があります。また、エポキシ系樹脂の中でも一般的にはABSライク樹脂とPPライク樹脂が使用されています。ABSライク樹脂は耐衝撃性や耐熱性に優れているものの、ABSよりも強度が劣ります。

PPライク樹脂は、ポリプロプ樹脂と同等の耐衝撃性や耐熱性があるため、代替えとしての使用が可能です。

アクリル系樹脂の種類は豊富で、透明度や耐久性もさまざまです。メーカーによって使用する素材が異なり、性能にも差があるため、購入前に十分に確認しましょう。

光造形方式のメリット

光造形方式の3Dプリンターには、次のメリットがあります。

造形スピードが速い

光造形方式は、他の造形方式と比べて造形スピードが速いというメリットがあります。特にDLP方式は1つの造形にかかる時間で複数個を造形できるため、短時間で多くの造形物を作ることが可能です。

造形精度が高い

光造形方式で使用するレジンは、高温でなくとも造形できる素材です。そのため、熱溶解積層方式のように素材が高温になって熱収縮が起きる心配がほとんどありません。熱収縮が起きると、設計図通りの寸法にならない恐れがあります。つまり、光造形方式は造形の精度が高い方式と言えるのです。

表面が滑らかに仕上がる

積層痕が目立ちにくく、表面が滑らかな仕上がりになります。通常、積層する際に、硬化した層との結合が悪く、層と層の境目が目立ちます。その結果、表面が粗い仕上がりになってしまうのですが、光造形方式はこの境目が目立ちません。そのため、フィギュアやプラモデルなど、表面の仕上がりが重視される造形に対応できます。

透明度の高い造形物を作れる

アクリル系樹脂を使用すれば、透明度の高い造形物を作ることができます。研磨やコーティングなしに透明感は実現できませんが、正しい工程を踏みさえすれば透明度に優れた造形物を作ることができるのです。例えば、車のライトは高い透明度が必要なため、光造形方式のアクリル系樹脂が向いています。

光造形方式のデメリット

光造形方式はメリットが多い造形方式ですが、次のようなデメリットもあります。

直射日光に弱い

光造形方式では、光やレーザーで硬化する樹脂を使用するため、直射日光に長時間さらされると変形や破損する恐れがあります。そのため、炎天下の中に置く造形物には向きません。

材料の管理コストがかかる

光造形方式で使用する樹脂は、高温の環境や直射日光によって変形や破損する恐れがあるため、冷暗所で保管しなければなりません。そのため、材料の管理コストがかかります。

まとめ

光造形方式は、透明度が高く、表面が滑らかな造形物を作るのに向いています。その一方で、材料の管理コストがかかったり直射日光に弱かったりといった注意点もあります。最も適した方式の3Dプリンターを選びましょう。

ヤマイチテクノでは、3Dスキャナーの導入を検討している方に向けて、造形方式を含めたアドバイスをしておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。

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販売・レンタル・計測業務受託

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