LiDAR(ライダー)とは?機能から種類・使用方法まで解説
近年、ドローン測量や自動運転技術の進化とともに注目を集めているのが「LiDAR(ライダー)」です。
LiDARは、レーザー光を用いて対象物との距離を測定し、正確な3Dデータを取得できる革新的な空間認識技術です。
この記事では、LiDARの基本原理から種類ごとの特徴、実際の活用例、導入時に留意すべき精度やメンテナンスまで解説します。
LiDAR(ライダー)とは
LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザー光を使って対象までの距離を測定し、3Dマップを生成する技術です。
地形の起伏や建造物の構造を正確に可視化できることから、測量・建設・自動運転など幅広い分野で活用されています。
LiDARの仕組み
LiDARの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
【1】レーザーによる距離測定
LiDARは、対象にレーザーを照射し、その反射光が戻ってくるまでの時間から距離を算出します。
これを「飛行時間型(TOF):レーザースキャン」と呼びます。
もう1つの方式として「位相シフト型」もあり、こちらは戻ってきた光の波のずれをもとに距離を算出します。
【2】データ取得から3Dマップ生成まで
取得された距離情報は、GPSや慣性測定装置(IMU)の位置情報と組み合わされて「点群データ」として記録されます。
これにより、対象空間の立体的なモデルが再現されます。
LiDARの主な種類
LiDARには、以下のような種類があります。
固定型LiDAR
固定された位置から周囲を高精度にスキャンするタイプです。
三脚などに設置して、建物内外の構造物、工場設備、文化財などの詳細な3Dモデルを作成するのに用いられます。
特長としては、精度が非常に高く、狭い範囲や複雑な形状も鮮明にスキャン可能な点が挙げられます。
モバイルLiDAR
車両・カート・リュック・手持ち機器などにLiDARを搭載し、移動しながらリアルタイムで周囲をスキャンできるタイプです。
都市インフラの管理や点検、道路・鉄道周辺の測量、地下空間の記録など、移動しながら広範囲を素早く取得したい場面に適しています。
空中LiDAR
航空機やドローンなどの空中プラットフォームに搭載し、上空から広範囲の地形や森林、都市エリアをスキャンするタイプです。
従来の地上測量では困難だった山地や森林地帯なども、短時間で面的なデータを取得できます。
主な用途として、地形測量、災害リスクの評価、土地利用の把握、林業の樹高測定や植生調査などが挙げられます。
LiDARの活用分野
LiDARは、次のような分野で活用できます。
都市計画・建設
LiDARは都市計画や建設現場において、建物・道路・鉄道・公園などのインフラ構造物を正確に3Dスキャンし、地形や構造物の形状・高さ・位置関係を高精度で把握できます。
従来の測量と比べて短時間で広範囲を取得できるため、大規模な街づくりや再開発プロジェクト、交通ネットワークの設計において重宝されています。
インフラ保全
橋梁、トンネル、道路、配管設備などのインフラは老朽化が社会的課題となっており、LiDARは非接触で変形やひび割れの兆候を可視化する手段として注目されています。
対象物の3Dモデルを取得し、経年劣化による歪みや沈下を数ミリ単位で検出可能です。
定期的なスキャンによって、劣化の進行度合いや補修が必要な箇所を早期に発見し、計画的なメンテナンスに役立ちます。
狭所や高所など、人が立ち入れない場所でも安全に点検できるのが大きな強みです。
自動運転
自動運転車に搭載されたLiDARは、車両周辺の360度をリアルタイムでスキャンし、歩行者や他車、信号機、ガードレールなどの障害物の位置や動きを正確に把握します。
LiDARの強みは、夜間や逆光など視界が悪い環境でも距離と形状を正確に測定できる点です。
これにより、従来のカメラやレーダーだけでは困難だった精密な障害物検出や地形認識が可能となり、安全なルート選択と衝突回避に寄与します。
環境調査
森林や湿地、山地など、人の立ち入りが難しい自然環境においても、LiDARは役立ちます。
樹高・林冠構造・樹木の密度・バイオマス量などを高精度で把握できるため、森林資源の管理や生態系調査に利用できます。
衛星画像や航空写真では得られない立体的な情報を提供できる点が、LiDARの大きな特長です。
災害対策
地滑り、土石流、洪水といった自然災害への対策において、LiDARは事前のリスク評価と被災後の状況把握の両方に活用されます。
山間部における急傾斜地の傾斜角や亀裂の有無を検出したり、河川流域の水位上昇による氾濫リスクの高い地域をマッピングしたりすることが可能です。
災害発生後には、被害エリアの地形変化を短時間で3Dデータとして取得できるため、復旧計画や被災分析に役立ちます。
LiDARの精度と制約
LiDARの精度と制約について、下記を確認しておきましょう。
精度の指標
LiDARは条件が良ければ数ミリ単位の精度を実現できますが、使用環境によって誤差が発生することもあります。
影響する主な要因は、対象までの距離、反射率、湿度、日射などです。
校正とメンテナンス
LiDARセンサーは工場出荷時に校正されていますが、長期使用や環境変化に応じて再校正が推奨されます。
高精度を維持するには、定期的なチェックが重要です。
まとめ
LiDARは、空間の形状をミリ単位で捉え、さまざまな業界の業務効率化と高度化に貢献する先進技術です。
固定型・モバイル型・空中型など用途に応じた選択肢があり、測量や都市開発、災害リスク評価といった幅広い現場で活躍しています。
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1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。
3Dレーザースキャナーの
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