建設業界における「デジタルツイン」とは?有用性や現状について解説

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2023/11/02

建設業界における「デジタルツイン」とは?有用性や現状について解説


 
デジタルツインは、建設業界において革新的な進展を遂げつつある概念です。
これは、物理的な建築物やインフラと、それに対応するデジタルなモデルを組み合わせるものであり、現実世界とデジタルの両方を同時に管理・可視化する手法を指します。
建設業界では、3Dレーザースキャナーの導入によりデジタルツインを実践する企業が増えたことで、大きな変革期を迎えています。
 
この記事では、デジタルツインの建設業界への適用やその進展に焦点を当て、その利点や展望について詳しく解説します。

デジタルツインとは

デジタルツインは、現実世界の物理空間に存在する情報をIoTなどで収集し、そのデータを元にサイバー空間でリアルな空間を再現する技術です。
この技術は、現実の環境を仮想空間に精密に複製し、物理とデジタルの両方で同時に存在させます。
 
リアルな空間を仮想空間に反映させ、シミュレーションを行うことで、効率的な管理や最適な意思決定に役立てます。

デジタルツインの現状

建築、土木、都市づくりの分野でデジタルツインの活用が進んでいます。
土木分野では、大手建設機械メーカーがドローンによる測量データからデジタルツインを構築し、測量プロセスを効率化しています。
3D地形データを活用して建造物や樹木を除去し、ICT建設機械からの進捗データと結びつけることで、施工計画のシミュレーションが可能です。
 
都市づくりでは、江東区の開発を担当する総合建設会社が、スマートシティ構築を目指しデジタルツイン基盤とプラットフォームを整備しました。
カメラやセンサーにより交通量や人流、環境データを取得し、デジタル空間でシミュレーションを行い、良い結果が得られれば現実空間で工事や対応を行い、都市のアップデートを継続的に進めています。
 
また、東京都は2030年までに実現を目指すデジタルツインを通じて、少子高齢化、人口減少、人流・物流変化、気候変動、地震への対応など多岐にわたる社会課題に取り組む予定です。
産学官一体となりデジタルツインの社会実装を進め、先駆的な存在として国内外に波及させ、日本全体を牽引することを目指しています。

建設業界におけるデジタルツインの実現に必要なこと

デジタルツインの確立には大量のデータが必要であり、そのためには高速インターネット通信の5Gの普及が不可欠です。
2019年には通信会社とIT企業が協力してデジタルツインを活用した建設業界の実証実験を行い、5Gを通じてクラウド上にデータを収集し、デジタル空間に再現しました。
 
他の通信会社も鉄道会社と連携してデジタルツインを活用した実証実験を進め、5Gを利用してリモート監督事業を実現しています。

建設業界におけるデジタルツインのメリット

建設業界におけるデジタルツインのメリットは多岐にわたります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務効率化

デジタルツインは業務の事前シミュレーションに役立ちます。
それにより、業務に必要な人員やプロセスを効率的に計画できます。
これにより無駄を削減し、スムーズで効率的な作業を実現します。

コスト削減

仮想空間上での試作や分析により、実際の製品や建物を作成する際のコストを削減できます。
デジタル上での作業により、実物の製造や試作にかかるコストや時間を削減し、効率的かつ経済的なプロセスを実現します。

機器の保全

デジタルツインは機器の動作データをリアルタイムで収集し、エラーが発生した場合に素早く原因を特定できます。
これにより、保全作業が迅速かつ効果的に行え、機器の正常な稼働の維持に役立てられます。

品質の向上

デジタルツインでは画像認識技術を活用して製品の検査を行います。
人間が見逃す可能性のある不備を正確に判断し、品質データを収集することで、製品の品質向上に寄与します。
改善に必要な情報を得ることができ、高品質な成果物を生み出します。

建設業界におけるデジタルツインの活用事例

建設業界では、多くの企業がデジタルツインを活用しています。
代表的とも言える2つの事例を紹介します。

鹿島建設

鹿島建設はオービック御堂筋ビルの新築工事において、BIM(Building Information Modeling)を駆使したデジタルツインの活用に成功しました。
この取り組みにより、プロジェクトの各フェーズで建物データを連携・共有し、企画・設計フェーズでは周辺環境や建物内のシミュレーションが可能な体制を構築しました。
 
また、施工フェーズでは工事プロセスのデジタル化や進捗管理、MRの利用による実際の施工状況確認を実現しています。
維持管理フェーズではファシリティマネジメントデータとの連携や日常点検情報の収集が行われました。
これにより、建物の高品質化だけでなく、一連の情報をデジタル化し、顧客に提供することで建物の総合的な価値向上を実現しています。

コマツ

コマツは、建築現場での生産性向上を目指しデジタルツインを採用しています。
このシステムでは、資材や建設機械、作業員の位置・稼働データなどを建物の図面データと組み合わせ、遠隔管理を可能としました。
施工管理者はPCの画面上で現場の状況をリアルタイムに確認できるため、少人数での工事管理や資材・機材の効率的な利用に役立てられます。
 
現場での時間と建設機器のレンタル費用の削減、車両の待ち時間削減が実現され、少子高齢化とCO₂排出の課題への貢献が期待されています。

まとめ

少子高齢化による労働人口の減少に備え、デジタルツインがさまざまな業界で注目されています。
デジタルツインの実現においては、3Dレーザースキャナーによる測量が必要です。
 
ヤマイチテクノでは、用途に応じた3Dレーザースキャナーをご提案しております。
まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。

3Dレーザースキャナーの
販売・レンタル・計測業務受託

ハードウェア/ソフトウェアの販売から、機材のレンタル、計測業務受託まで
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