キャリブレーションとは?役割や方法からロボットキャリブレーションまで解説
キャリブレーションとは、測定機器や産業用ロボットなどの精度を保つために欠かせないプロセスです。
この記事では、キャリブレーションの役割や具体的な方法について詳しく解説します。
また、特に産業分野で重要性を増しているロボットキャリブレーションについても、その必要性や実施方法を取り上げます。
精密な作業や高い品質を求める現場において、キャリブレーションがどのような役割を果たしているのか知りたい方は最後までご覧ください。
キャリブレーションとは
キャリブレーションとは、測定機器や産業用ロボットなどの精度を維持するための重要なプロセスです。
対象となる機器の出力結果を精度の高い基準機や標準機と比較し、もしズレが確認された場合はその調整を行います。
キャリブレーションは「校正」や「較正」とも関連する用語ですが、それらとは若干異なる意味を持ちます。
校正は機器の動作や精度を確認する作業を指し、較正はその結果に基づいて正しい測定値を導き出す作業です。
一方、キャリブレーションはこれらのプロセスに加え、測定機器のズレを調整し、精度を保つための包括的な取り組みを指します。
キャリブレーションはさまざまな分野で活用されています。
たとえば、工場で使用される測定機器、医療現場での診断機器、さらにはPCモニターの色合いを調整するモニターキャリブレーションなど、その用途は広範囲にわたります。
これらすべてのキャリブレーションが共通して目指しているのは、機器が本来持つ精度を維持し、正確なデータを提供することです。
キャリブレーションの必要性・役割
キャリブレーションが必要な理由は、機器が経年劣化や使用頻度の増加に伴って精度が低下するためです。
たとえば、工場で使用される測定機器は、長時間の使用や過酷な環境下での作業により、出力にズレが生じることがあります。
このズレを放置しておくと、製品の品質に影響を与えるだけでなく、企業全体の信用を損なうリスクも生じます。そのため、定期的なキャリブレーションが求められるのです。
キャリブレーションはまた、国際基準であるISO9001においても重要な役割を果たしています。
ISO9001は、品質マネジメントシステムの国際基準であり、製品やサービスが高品質であることを保証するためのガイドラインです。
この基準に従ってキャリブレーションを実施することで、企業は信頼性の高い製品やサービスを提供することができます。
キャリブレーションを行うタイミング
キャリブレーションの実施タイミングは、機器の種類や使用環境によって異なります。
一般的には、以下のタイミングでキャリブレーションを行うことが推奨されています。
【測定機を使用する前】
計量物を載せた際に表示が「0」になるかどうかなど、簡単なキャリブレーションを行います。
【周辺環境が変わったとき】
気温や湿度の変化が機器の精度に影響を与えることがあるため、環境が大きく変わった場合にキャリブレーションを実施します。
【定期的】
メーカーが推奨する周期に従って、半年おき、1年おき、2年おきなど、定期的にキャリブレーションを行います。
ロボットキャリブレーションとは
ロボットキャリブレーションは、産業用ロボットなどの精度を保つために行われるキャリブレーションの一種です。
産業用ロボットは、正確で再現性の高い作業を行うことが求められますが、その精度を維持するためには定期的なキャリブレーションが欠かせません。
ロボットキャリブレーションでは、ロボットアームの関節リンクやセンサーの位置を調整し、正確な動作ができるようにします。
産業用ロボットの多くは、繰り返し同じ作業を行うことが特長ですが、絶対精度(指定した位置で正確に動作する精度)においては、人の介入が必要な場合があります。
たとえば、ロボットが製品の組み立てや検査を行う際、位置や動作のズレが発生すると、製品の品質に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
このようなズレを防ぐために、ロボットキャリブレーションが重要な役割を果たすのです。
ロボットキャリブレーションに必要なツール
ロボットキャリブレーションを行う際には、位置決めセンサーやトラッカーといった専用のツールが使用されます。
これらのツールを用いることで、ロボットの位置や動作を高精度に測定し、必要に応じて調整を行います。
また、ソフトウェアを活用することで、データ解析や調整作業を効率的に進めることが可能です。
まとめ
キャリブレーションは、精密な測定と品質を維持するために欠かせない工程です。
定期的なキャリブレーションを行うことで、機器の経年劣化や環境変化による誤差を防ぎ、製品やサービスの品質を保証できます。
特に、産業用ロボットにおけるキャリブレーションは、作業の正確性と効率性を高め、企業全体の信頼性を向上させる重要な役割を果たします。
キャリブレーションを怠ることなく実施し、高い品質基準を維持しましょう。
1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。
3Dレーザースキャナーの
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