LiDARを用いた自己位置推定とSLAMの関係は?手法・活用例を紹介
自動車の自動運転や自律的に動くロボットなどの開発が進んでいますが、そのような技術には自己位置推定が不可欠です。
この自己位置推定に用いられているのが、LiDARとSLAMです。
これらの意味や手法を理解することで、自動車やロボットが環境を認識し、目的地まで効率的に移動できる仕組みの理解につながるでしょう。
本記事では、LiDARとSLAMの関係や自己位置推定の方法、活用されているものなどについて詳しく解説します。
LIDARとは
LiDAR(Light Detection And Ranging)は、光による検知と測距を計測するリモートセンシング技術の一種です。
近赤外光や可視光、紫外線などの光を対象物に照射し、その反射光を光センサーで受信して距離を測定します。
例えば、LiDARセンサーを搭載した車両が街中を走行する場合、LiDARは周囲の建物や車両などの物体に光を照射し、その反射を受信して距離を測定します。
この情報を基に、車両は周囲の環境を正確に把握し、自律的な走行を行うことが可能となります。
LiDARは地図作成や環境認識などのさまざまな分野で活用されています。
例えば、地図作成ではLiDARを使用して地表や地形の詳細な高さ情報を収集し、3次元地図を作成します。
また、自動運転車のセンシング技術としても広く利用され、安全な走行を実現するための情報を取得します。
SLAMとは
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)は、LiDARから得た現在の周辺の形状データを使用して、自己位置を推定し、同時にエリアマップを構築する技術です。
自律移動ロボットなどが未知の環境で自己位置を把握し、同時に周囲の地図を作成する際に利用されます。
SLAMを用いる場合、事前に与えられたエリアマップがない場合でも、ロボット自身がエリアマップを生成することができます。
この際、LiDARから得られる幾何学的な形状データを基に、ロボットはエリアマップを継ぎ足していきます。
これまでに生成したエリアマップを参照して自己位置を推定し、新たな形状データを収集してエリアマップの領域を拡張していくことが可能です。
例えば、自律移動ロボットが倉庫内を移動しながら商品の位置をマッピングする場合、SLAM技術を使用して自己位置をリアルタイムで推定し、同時に倉庫の地図を作成します。
これにより、ロボットは効率的に移動し、迷子になることなく目的地に到達することが可能となります。
SLAM手法
代表的なSLAM手法には、スキャンマッチングやベイズフィルタに基づく手法があります。
特に、スキャンマッチングのICP(Iterative Closest Point)やNDT(Normal Distributions Transform)などは広く知られ、実用的な自律移動ロボットで多く利用されています。
近年では、ROS(Robot Operating System)パッケージとしてさまざまなSLAM手法が公開されており、LiDARとPCがあれば比較的簡単に始めることができます。
SLAMの必要性
SLAMは、さまざまなシーンにおいて欠かせない技術です。たとえば、お掃除ロボットにSLAMを搭載することで、効率的な部屋の掃除が可能になります。
通常、SLAMを搭載しないお掃除ロボットはランダムに動き回りますが、SLAMを使用すると自己位置推定と環境地図作成を同時に行い、部屋全体を効率的に掃除することができます。
これにより、電力の無駄を減らし、最短時間でほこりの除去を行うことが可能です。
SLAMの応用例
SLAM、他にも次のような方法で利用されています。
応用例 | 説明 |
---|---|
自動運転車用の高精度地図 (HD Map) の作成 | 自動運転車が周囲の環境をマッピングし、高精度な地図を作成 |
工場内・生産ライン | 工場内の無人搬送車やAGVが自律的に移動 |
芝刈りロボット | 芝刈りロボットが庭の地図を作成し、効率的に芝をメンテナンス |
介護ロボット | 介護ロボットが高齢者の自宅内を移動し、訪問や見守り |
警備ロボット | 警備ロボットが施設内を巡回し、警備活動 |
ドローン・UAV・移動ロボットによる荷物配達 | |
ドローンやUAVが荷物を自動操縦で運ぶ | 施設内の案内や案内業務を担当するロボット |
これらの技術は以下ページで紹介している3Dレーザースキャナー「FARO Orbis」にも用いられています。
●新製品「faro-orbis」とは?特徴や機能について解説
●FARO社製の3Dレーザースキャナーとは?種類とその魅力やポイントを解説
まとめ
LiDARとSLAMは、自律的なロボット動作に欠かせない技術です。
LiDARは光を使い、距離を測定するセンサーで、SLAMはそのデータを活用して自己位置推定と地図作成を行います。
例えば、お掃除ロボットはSLAMを使用して部屋の掃除を効率的に行います。
自動運転車のHD Map作成や工場内の無人搬送車、芝刈りロボット、介護ロボット、警備ロボット、ドローンにも応用され、様々な場面で活躍します。
ヤマイチテクノでは、さまざまなシーンで利用できる3Dレーザースキャナーの導入を支援しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

1989年入社以来、長年のCADシステムの営業経験を活かし現在3Dレーザースキャナーを中心に営業展開。東日本を担当する。
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